オフロードバイクは雪が積もった林道でも意外と走れるのはご存じでしょうか?
バイクで雪道走行等と今迄考えた事すら無かった方が大半だと思います。
オフロードバイクはオンロードバイクには到底真似の出来ない走破性があるのです。
もちろん色々な準備をしていかなければ走行は出来ません。
今回はオフロードバイクでの雪道の走行や雪の林道の魅力についてお話します。
もしオフロードバイクを所有しているにも関わらず1度も雪道走行したことが無い方は貴重なチャンスを逃さないように、雪が降った時はこのブログを思い出して下さい。
本ブログは非舗装路に降った雪道を走行する事を前提としていて、良くある国道県道等で目的地に行く雪中ツーリングを想定はしていません。
雪道は転倒が付き物!走破の為の準備
準備と言っても普段の林道走行用の装具をしっかりしていれば特別変わった準備は必要ありません。
しかし雪道は、極端に路面との摩擦係数が低いので普段の数倍程度は転倒することを覚悟してください。
なので、転倒しても再び走行出来るバイク側のプロテクターを強化するようにして下さい。
具体的にはアンダーガードよりハンドガード、ペダル類、ミラー、ラジエター等の損傷を予防する策を講じて置きましょう。
転倒で帰還出来なくなると雪の為雪が無い時の数倍疲労します。
バイク側の準備としてはタイヤの空気を抜いてもリムとタイヤがズレる事の無い様にビートストッパーを装着しておきましょう。
タイヤに関しては125cc以上はスパイクタイヤが禁止されていて、スノータイヤやスタッドレスタイヤの無い以上普通のオフロードタイヤで空気圧を下げて走行するしかありません。
タイヤの空気圧は0.5kg以下となり過酷ですが空気圧が0kgでも走行出来るタブリス(チューブリス)も候補に入れても良いと思います。
只、エアーの持ちが悪く徐々に抜けて行きますのでこまめなメンテナンスが必要です。
特にオフロードタイヤでも、トライアル用のキャラメルが並んだ様なタイヤは雪が詰まってホースの様になり走行出来にくく止めた方が無難です。
通常のエンデューロタイヤやモトクロスタイヤが適していると思います。
そして、走行前にタイヤにシリコンスプレーをかけておくと多少の時間、雪の付着を減少させる事が出来ますが気休め程度と思って下さい。
雪道は意外と走行出来ると書きましたが、凍結路にはまったく刃が立ちませんので迂回するか走破を断念しましょう。
又、凍結路では足が滑り、転倒したバイクを起こす事もままならない状態になります。
現在125cc以上の車両にはスパイクの装着は禁止されていますが、転倒したバイクを引き起こしたり移動させる為にブーツの裏にスパイクを打つ方法等があります。
効果は絶大で凍結路を歩いていても転倒する事はありません。
欠点は立ち寄ったコンビニの床等にキズをつけてしまう事でしょうか?
中心部はタングステンでできており、ネイル状の刃がついていて専用工具で捩じり込み、季節がおわったら外すと言う使い方が出来ます。
本来車用のスベリ止め器具ですがブーツにも使用出来ます。
商品名は BEST GRIP と言います。
雪の林道は、極端に寒いのでグローブは完全防水の真冬用が必須です。
他、リエゾン区間の移動等ではフェィスマスクやネックガードが有効です。
とは言えいつも通り完全防備していれば1枚位の追加で結構しのげる物です。
車体の方は減ったタイヤはでは進めない止まらないになりますので、出発前に点検して下さい。
雪道走行で注意する事は何でしょうか?
先ず、雪道は当然路面ミューが極端に低いので進まない止まらない物と思って慎重に運転しなければなりません。
何故なら、雪の林道は凍結路、新雪、圧雪、雪の下が凍結と多岐に渡るからです。
特に林道移動中のリエゾン区間の舗装上での走行は、車の轍(わだち)を避けて(大抵凍結している)端の方の固められていない雪の状態の部分を走行するようにしましょう。
林道に入ったら多くの場合、前車の轍がありませんので転倒に直接つながる深い溝や穴、段差等は全て雪で覆いつくされ見えない状態です。
これらを上手く道案内してくれるのは野生動物の足跡です。
野生動物は雪で見えなくなった溝や穴を回避して進んでいますので、溝の多い林道に野生動物の足跡があったら目安になります。
又、新雪の場合は道と崖の境目が判らなくなっていますので、端と思われる方向には近付けない事も重要です。
雪の林道走行の場合は、坂は登れないと思って走行しましょう。
従って下り坂を下っていると帰還の時にすごく労力を使う事を覚悟しましょう。
雪道のライティング
特に注意しなければいけないのは対車です。
車は4輪で安定していて同じ路面を走っているバイクも同様に走れる物と錯覚しています。
後方から又、対向で車を見たら、停車してやり過ごすなり近づかないようにするのが賢明かと思いますし、向こうも安心と思います。
新雪の場合
雪道ライディングの一番の醍醐味は新雪走行です。
轍の無い誰も走った跡の無い林道を走る爽快感は格別です。
速度が乗って雪面走行が上手くバランスが取れてコントロール出来ている時の感覚は、車両の重さが案じられなくなり、まるで空を浮遊している感覚です。
スタートは、そっとと言うよりある程度速度が乗るまで半クラッチ状態を維持します。
スタート出来たらアクセルは、慎重に開けて行き速度を上手く乗せないと直ぐにタイヤが潜ったり前輪が刺さったりと走行出来なくなります。
フロントタイヤが埋まってしまうと前進出来ませんので、後輪荷重で速度を乗せて行ってください。
しかし、雪面を掘る程のアクセル開度は後輪を雪面に潜らせるだけなので微妙に速度とアクセルと荷重のかけ方を調整しましょう。
抵抗の極端に少ない、海岸や河原の砂地走行と似ています。
ブレーキはリアが基本でフロントは添える程度と思って下さい。
フロント2でリア8位でしかも真綿を包む様なブレーキングを車体を立てた状態で行いましょう。
数日経った雪道走行の場合
此処では圧雪路と言う感じで車等が走行した後の雪道を指しています。
圧雪路面は意外と走行出来ますが、下の路面状態によってかなり左右されます。
下の路面が凍結している場合は、走行は無理なので回避してください。
林道でよくあるのが切り出した木材を運ぶ大型トラックの轍が圧雪された場所で、一言でいえばボブスレーのコースの様で抜け出す事がとても困難です。
こんな場合道路脇の圧雪されていない箇所を選び走行しましょう。
此処なら比較的安全に走行可能です。
凍結路での走行
基本的にバイクがノーマル状態では無理です。
しかし125cc以下のバイクであれば写真の様にスタッドを打ち込み走行可能です。
又、カブ系の小径タイヤならスタッドレスタイヤも存在します。
山間部の郵便配達の方が使われています。
しかしながら凍結路ではいずれも役には立ちません。
凍結路はスタッドレスタイヤでもオフロードバイクの場合走行は不可能でバイク用の特殊チェーン装着で辛うじて走行可能と思って下さい。
雪道をオフロードバイクで走る事はとても貴重な経験です。
音の無い世界を感じた事はあるでしょうか?
先ず雪が降らなきゃ叶わないし、ライダーが走行出来る日である事や運良くバイクが完全に整備出来ている、そして決行の日は天候にも恵まれている。
こんな偶然は雪国の方でもない限り一生の内でも数回も無いかもしれません。
オフロードバイクは雪道を思った以上に走れます。
しかしながら転倒のリスクは普段より多いです。
そして速度は出せないので万一転倒しても怪我のリスクは通常の林道走行よりは格段に少ないかと思います。
雪が降ったら、音のない世界、是非一度雪道走行を味わって下さい。