オートバイに乗る為に一番初めに購入しなければいけないヘルメットについて、自分にとって最適な物とはどのような物なのでしょうか。
今回は、オフロード用に限定してお話します。
オフロードヘルメットには3種類のタイプがあります。
シールド付き、シールド無しゴーグル使用タイプ、トライアル用ジェット型の3種類です。
シールド付きはフラット林道ツーリング向けで一番フルフェイスヘルメットに近い物です。
シールド無しは、競技するならこのタイプでエンデューロやモトクロスで使用します。
ドロが付いたらゴーグルが外せますのでレース向きと言えますが、冬の林道ツーリングでは頬が痛い位の状態になります。
トライアルヘルメットやジェットタイプはアタックツーリングに最適で、呼吸が遮られない事と、重量が軽いのが特徴です。
シールド付きシールド無し共、口元が前に飛び出している理由は顎の保護が主目的なのですが、呼吸をしやすくする為に口元にスペースを取ると言う目的で作られています。
オフロードヘルメットの特徴として走行風による頭部のクーリングの為のエアインテークダクトがオンロード専用よりも多く付いている事も上げられます。
又、オフロードヘルメットは汗や埃で汚れる事が普通なのでオンロードヘルメットより簡単に内装外して洗える様になっているのも特徴です。
ヘルメットは頭部を守る物、転倒時だけじゃない!
オフロードバイクでのヘルメットの役目は転倒による頭部の損傷はもちろん、前車の跳ね上げたドロや石、突然出てくる木の枝等多岐に渡ります。
交通事故での頭部損傷での死亡事故はバイク全体で見れば48%に達します。
林道走行を目的としたバイクであっても、リエゾン区間や自走で林道に行く場合に通る公道では交通事故のリスクはオンロードバイクと同じと考えましょう。
自分に合ったサイズのヘルメットをチョイス
ヘルメットはライダーの頭を守る唯一のアイテムですが、ヘルメットのサイズを間違えてしまうと上下左右にずれ、安全性が損なわれてしまいます。
トラブルの際、脱げ落ちてしまわないよう、自分の頭のサイズを測りヘルメットメーカーのサイズ表記を確認することが必要です。
国内のほぼ全てのメーカーでは現在、購入者に合わせてヘルメット内装を追加したり交換をし、オーダーメイド感覚でオリジナルヘルメットが作れるフィッティングサービスを行っています。
これは、ヘルメットメーカーが認定するプロショップで受けることができるサービスです。
フィッティングの流れは、まず頭のサイズを測る
まずは自分の頭の外周サイズをメジャーで測ります。
おでこのいちばん高い位置から後ろに回して後頭部のいちばん高い位置を通って一周するように測ります。
メジャーがない場合は紐で頭の外周を測り、その紐を測ることで測定できます。
その数値を基に下記の表から大まかなサイズを選びます。
しかし、ヘルメットは、これだけではサイズを特定することはできません。
また、同メーカーのヘルメットであってもモデルによって同じサイズでも装着した際、装着感が違いますので、まずは実際に試着されることを強くお勧めします。
上記方法で測った頭の外周サイズとサイズ表を見合わせて自分に合ったヘルメットサイズを選びます。下に主要メーカーのサイズ表を掲載します。
商品モデルにより多少ゆるいとかきついといったサイズ差が出る事があります。
サイズ表から自分にあったサイズを探す
アライヘルメット サイズ
ショウエイヘルメット サイズ
内装パッドの調整
内装のパッドを調整。
きつすぎたり、ゆるすぎて動いたりしないようオーダーメイド感覚でジャストフィットして
ヘルメットの安全規格を知ろう
オートバイヘルメットの貼ってあるシールの意味を書きます。
表や裏に貼ってあるので注意して剥がさないようにして下さい。
SG規格
製品安全協会の安全基準を満たした製品に与えられた、安全を保障する規格です。
SGマーク付きの製品は、製品の不具合等が原因で怪我や障害等負った場合、対人賠償責任保険の適用があります。
JIS規格
日本工業規格と言い、JISマーク表示制度によって品質内容を規定し、適合製品となる製品に制定されます。
落下試験等の公的な厳しいテストを経て認定されます。
現在125cc以下限定のJIS 1種と排気量無制限のJIS 2種が設定されていて各々乗車する排気量により使える機種が違いますがJIS 2種のものであれば125cc以下でも使えます。
PSCマーク
PSCマークは、国が定める安全基準を満たした製品に貼られるマークで、この表示がないと販売ができない決まりです。
国内で正規に販売されている国産ヘルメットには、PSCマークの貼付が義務づけられています。
SNELL規格
スネル記念財団という非営利の団体が定めている安全規格。
スネル規格は衝撃吸収や貫通試験において非常に厳しい試験が行われており、常に高い基準を制定し改定され続けています。
FIMが行う国際格式のレースには、スネル規格をクリアしたヘルメットでないと出場は出来ません。
FIM/MFJ公認
公式のバイクレース出場の為の制度。
現在国内でモーターサイクルスポーツを統括している、財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会、通称MFJが参加者の安全の為に定めた安全規格です。
DOT規格
アメリカ合衆国運輸省認定規格Department of Transportationで基本的に日本のJISに相当すると思えば判りやすいです。
アメリカ製のオフロードヘルメットメーカーのICONやBELL,スコーピオン等はこのシールが貼ってあります。
ECE
国連欧州経済委員会 Economic Commission for Europe のヘルメット安全規格でワールドスタンダードな規格。このECE22.05の認定をうけていれば世界の大会で使用できる。
オートバイのヘルメットに求められる要件としては下記の通りです。
左右、上下の視野が十分とれること
風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること
著しく聴力を損ねない構造であること
衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること
衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること
重量が二キログラム以下であること
体を傷つけるおそれがある構造でないこと
ヘルメットメーカー各社の特徴
ヘルメットメーカーは各社独自の基準の基に製造されています。
此処では世界的に代表的なヘルメットメーカー3社を紹介します。
Arai
日本で初めてオートバイ用ヘルメットを作ったメーカーです。
アライヘルメットはF1をはじめ、世界のトップレーサーやライダーに愛用されています。
ヘルメットは、衝撃をかわす事が重要と考え、製品を開発しています。
よって帽体が丸く、滑らかなデザインで路面を滑り衝撃を逃がすのが特徴です。
SHOEI
日本で生まれ世界で育ったブランドです。
世界のヘルメットの売り上げの半数以上を誇り、世界の数々の一流レーサーやライダーに愛されています。
SHOEIは、高品質に細部まで作りこまれているのが特徴です。
BELL
ヘルメットの基礎を作り上げたメーカー。
1950年台当時。アメリカのレースで絶大な信頼を集めたメーカーです。
アメリカのスネル規格を初めてクリアするヘルメットを作り出したました。
AGV
Amisano Gino Valenza AGVは、イタリアのヘルメットメーカーです。
1948年にヘルメットの製造を始めました。
MotoGPチャンプのロッシやGPチャンプのアゴスチーニ、ケニー・ロバーツも着用されていたヘルメットとして有名ですが最近ではオフロードヘルメットも作る様になりました。
帽体の材質について
材質には色々な物が使われています。
CFRPと言うカーボン繊維を使った帽体で比重が軽くて強度があるが、カーボン繊維製品は高価なのが難点です。
FRPモデルはガラス繊維を強化プラスチックで固めたものであり、強固なシェルの製作が可能だが穴の部分は切り取りの後工程が入り手間分高くなっている。
只、ABSモデルは文字通りABS樹脂の射出成型により出来ていて成型の性格上後処理が少なくて済みコストが抑えられている。
PCモデルはポリカーボネイト樹脂で出来ている成型品で、射出成型により大量生産されるポリカーボネイトは強靭な樹脂ですが、ABSに比べると成型後は多少やわらかくキズに弱い面があります。
他、防弾チョッキにも使用されるケブラー樹脂やカーボンとケブラーの綾織りのハイブリッドタイプ等多岐に渡ります。
エントリーで街乗りしない場合は安価で軽いモデルのABSやPCで作られたモデルでも良いのでは?と思います。
バイクの交通事故の死亡者のうち、41%が事故時にヘルメット自体が脱落していたそうです。
よって、自分の頭のサイズにピッタリ合ったヘルメットを選択し、あご紐をしっかりと締める事がとても重要です。
又、ヘルメットを改造しない事、無駄な装飾を付けない事、衝撃吸収体は汗や紫外線で劣化しますので一定期間使用したヘルメットは交換しましょう。
例え意匠面にキズ等がなくても衝撃吸収体は劣化はして来ます。
ビンテージヘルメットや中古ヘルメット等は、インテリアや飾りであり安全に使えない物と認識しましょう。